市川孝典「CLOCK MOVEMENT WATCH」

《Opening Reception》
2013年5月10日[金] 19:00 - 21:00
NADiff a/p/a/r/t 店内 にて

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untitled(movement) 2012 / burnt paper / Diam.250mm / photo: Keizo Kioku©Ichikawa Kosuke


この度、ナディッフ・ギャラリーでは2度目となる市川孝典の作品をご紹介いたします。

市川孝典が国内で発表してきた作品は、線香の微かな炎の焦げ跡で仕立て上げる絵画スタイルで、近年では〈線香画〉とも称され注目を浴びています。自分の記憶を辿って線香の焦げ跡で描き出される無数の穴は、触れただけで崩れてしまいそうな緊張感と大胆に濃淡をつけて紡ぎ出された作品世界です。

この度の新作は、同様の技法をベースにしながら、初めて彩色をほどこし、切り貼りをした非常に手の込んだ作品となります。線香の焦げ跡が描出する微細な陰影は、市川の手で切り刻まれたのち再構築され、精緻な内部構造をもつ時計のmovement に見立てたコラージュ作品、「CLOCK MOVEMENT WATCH」となりました。ナディッフ・ギャラリーにて、合計約85点の新作が初お目見えとなります。

特殊加工で仕上げられた額装も含めて、市川孝典のユニークな美学の深化形を、是非ご高覧ください。



Artist Statement

時計のこと

幼い頃祖父の時計や機械を分解してめちゃくちゃに組み直していた。
しかしバラバラになった歯車や部品は翌日には魔法のように直っていた。
祖父は技術者だった。
祖父の机においてある図面が好きだった。
図面の中のそれは幼い自分にとってキラキラしたガラクタ箱のように写っていた。
幼い自分が組み立て直した機械は動かないし、歯車もガチガチ。
けれど、めちゃくちゃに組み立てられた歯車は、宇宙や星屑、月、草原の草花の様に見えていた。

作品のこと

紙を煙にして、記憶の中の映像を定着させる。
それは記憶が消え行くことへの恐怖をなくすための行為である。
人の体温、温度、音、におい、湿度、光など、
ふとしたときに勝手に甦る記憶の映像
それのすべては、何の感情も感動もなくただ目や頭の片隅で見ていただろう、
もしくは感じていたであろうなにげない場面や物、景色。または、絵画、写真、映画。
そんなカラダに染み付いていないものなど、すぐに消え去りもう二度と思い出さないであろう。
そして、そのことがとても怖い。
記憶が甦ったらまずその映像を大事に何ヶ月も頭の中で隅々まで確認する。
そして、紙に映るくらいに思い浮かべたら、右上から左下へなぞるように描く。
描き終わった紙は見もしないで、ストックボックスにしまう。
そして恐怖が安心にかわるという繰り返しだ。
今回の作品群はそれらの記憶の断片を切り刻んで解体し、
再構築して作り上げています。
そこに浮かび上がる時計のmovement。
時間の中をうつろう色彩。


●関連企画

【ギャラリートーク】

市川孝典 × 山下裕二(美術史家)

日時:2013年6月7日[金] 19:30 - 21:00
会場:NADiff a/p/a/r/t店内


●関連商品

ichikawa_01_200[1]ichikawa_sticker_200[1]
市川孝典『The Clock』

300部限定 / 180 × 180mm / 28頁 / シルクスクリーンプリント / ステッカー附 / 2,000円+税soldout[1]
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3枚組セット / 300円+税 >> Webshop

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●Profile

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市川孝典 Kosuke Ichikawa

13歳の時に、鳶職で貯めたお金をもって、あてもなく単独でニューヨークへ渡る。アメリカやヨーロッパ各地を遍歴する間に、絵画という表現方法を知り、独学で作品制作に取り組む。また、音楽や映像など表現の場を広げながら活動。
 帰国後、線香をつかって絵を描く新しいスタイルで発表した作品は、「現代絵画をまったく異なる方向に大きく旋回させた〈線香画〉」と称され、メディアに大きく取り上げられる。
 60種類以上の線香を、温度や太さなどで使い分け、一切の下書きなしに少しずつ紙を焦がしながら絵を描いている。その類まれなる体験をした少年期のうすれゆく記憶をもとに、線香の微かな炎の焦げ跡で仕立てられる作品は、国内外で熱い注目を浴びている。

NADiff Gallery (恵比寿) では2回目となる展覧会「CLOCK MOVEMENT WATCH」(NADiff Gallery・恵比寿) では、初の色彩を用いた作品と線香での作品を解体し時計のMOVEMENTに見立て再構築させた作品で新境地をみせる。
 主な個展に、「FLOWERS」(NADiff Gallery・2011年 東京)、「murmur」(FOIL GALLERY・2010年 東京) など。主なグループ展には、「VOCA2010 展」(上野の森美術館・2010年 東京) に入賞など。

WEB: www.ichikawakosuke.com