高山夏希「空を泳ぐ鳥は火を灯す」

営業日:木、金、土、日、祝

営業時間:13-19時 

 
 

  • 高山夏希main

    高山夏希main

acrylic and oil on canvas、「blaze_2022」

 


 
 

●概要

 
この度NADiff Galleryでは、アーティスト高山夏希の個展「空を泳ぐ鳥は火を灯す」を開催いたします。

「アートアワードトーキョー丸の内」におけるアッシュ・ペー・フランス賞(2014年)、後藤繁雄賞(2016年)を受賞。近年では、「群馬青年ビエンナーレ2019」(2019年・群馬県立近代美術館/群馬)、「VOCA展2020 現代美術の野望 -新しい平面の作家たち- 」(2020年・上野の森美術館/東京)に選抜されたほか、Brooks Brothersや、VIVIENNE TAMなどのファッションブランドとのコラボレーションも行うなど、精力的に作品発表の場を広げ、益々の注目と評価を高めるアーティストです。

複数の絵の具を注射器にいれ、混ざり合った色を粒状に絞りだし積層させ、さらに彫刻刀やカッターを用いて削り出す手法で制作される高山のペインティングは、綿密な色と凹凸が幾層にも絡まりあい、生命の気配や時のうごめくような感覚を生み出します。近年は、セラミックやモルタル、衣服を使った作品を発表し、枠にとらわれない制作手法で表現の幅を拡張させています。

近作「boundary lift」で、モルタルを塗り重ねて大型作品を屋外で制作した高山は、塗り重ねるというアクションに端を発して、身体が拡張するような感覚を捉えたと言います。その中で、陶芸や版画のような、火や素材に委ねながら作品を造成していく手法に開眼し、現在は更なる新しい作品表現を切り拓いています。

本展では、新作のペインティング、セラミック作品と、高山個人では初となる、シルクスクリーンの作品群もお披露目いたします。注目の新鋭作家の最新作に、是非ご期待ください。

 


 

私たちは、絡まり合いの世界に生きている。周囲の人間や、環境を含めた様々なもの、それは〈見えるもの〉-〈見えないもの〉も含め影響し合いながら生きている。現実世界の中で、無数の線が現実に存在している。例えば、縦糸と横糸が交差し織り重なっている布のように。縦糸と横糸が交差した時に縦の糸に重なる横糸は裏に回り表からは見えないものとなる。目に見えるものだけが作用しているわけではない、布には空気をも含んでいる。五感を超えた感覚や気配で危機を回避する力のように、<見えないもの>への存在に対する眼差しや、関係を結んでいくことは、私たちに真の現実性を与えるのではないだろうか。見るということが情報化されつつある中で、見えないけれど、確かに存在するものへの意識は、根源的な想像力に焦点をもたらすのではないだろうかと考察している。

2022年3月末まで空の下で屋外制作をしていた。その時、海の水平線と空の間で、鳥が線を描くようにして飛んでいた。Vの字のように編隊を組んで飛び、わかっているよというように、一羽後ろに回れば、また一羽後ろに回っていく。
それは、風の抵抗から長距離を飛行する術であるが、人間が共同体の中で、変化をしながら新たな関係を築く姿にも見える。何匹もの鳥が後ろを追いかけながら不規則に線を描き飛んでいる。交差しながら、絶えず変形しながら、全体の線を描いている。火が風を受けて形を変えている様も連想した。

近年、科学の進歩によって火に直に触れないような文明を送っている。本来、人間の精神には古来より人と火は深い関わりが強く根付いている。例えば、火を灯して暗闇の中を歩き、暖をとり、火葬によって体との最期を終える。近年セラミック作品を制作する中で、新たためて感じたことであるが、火は、原型をとどめていない柔らかな物体を、生きたオブジェクトへ焼成するために重要な役割をする。
火は私たちにとって関係が薄れつつあるが、想像力を掻き立てる秘めた力を持つ現象であることを再認識する。
鳥たちが線を描いて飛ぶ光景は、絶えず、形を留めず、様々な姿に変貌する火のように。焼成して他の何者かになっていくようにも感じられた。そして、自分自身の周囲で別の媒介が働き、私たちも絶えず変化していることに気づかせてくれる光景である。

本展では、ペインティング、版画(シルクスクリーン)、セラミックの作品を展示する。線を無数に交差させて描いたドローイングを重ね刷りして制作した版画。水分や見えない物質の動き、私自身の与えた力の作用によって、罅を刻ませ、焼成しながら変化していくセラミック作品。視覚と力動的な歓び、肉体を通して運動する事と内的イメージを同時に織り成しながら、私たちの周囲にある物質の目に見えない変化に反応して制作した作品群である。
見えない世界の働きが交差していて、そうした〈見えるー見えない〉ものや、人間ではない他なる存在との連関を自覚することは、人間に制御しきれない問題を捉え直す糸口となるのではないだろうか。

高山夏希

 


●作品の販売について

 
展示作品の一部は2022年5月12日(木)13:00よりNADiff a/p/a/r/t店頭にて、2022年5月13日(金)13:00よりOIL by 美術手帖でも販売開始いたします。※プレセールスによって完売となる可能性がございますのでご了承ください。
>> OIL by 美術手帖
 


 

●PROFILE

高山夏希|Natuki Takayama

ポートレート

1990  東京生まれ
2014  東京造形大学 造形学部 美術学科 絵画専攻 卒業
2016  東京造形大学大学院 造形研究科 美術専攻領域 修了
2022  東京造形大学大学院 美術学科 絵画専攻 非常勤講師
  
Solo Exhibitions
2019  『water mirror intersept』(haku kyoto /京都)
2019  『Mnēmosynē』(Brooks Brothers 青山店/東京)
2018  『Tangled Colors』(西武渋谷店/東京)全館アートプロジェクト ウィンドウディスプレイ監修 VIVENNE TAM コラボ
2017  『RIPPLE』(SLOW HOUSE 天王洲/東京)
2016  IDEE Life in Art『space time continuum』(IDEE 六本木ミッドタウン店/東京)
2016  高山夏希展 『絡まり合う距離まで』 藤井匡キュレーション(sagio /東京)
2016  Cosmetic Kosmos(KOKI ARTS /東京)
2014  AS ONE(H.P FRANCE WINDOW GALLERY 新丸ビル/東京)
  
Group Exhibitions
2021  『房総里山芸術祭 ICHIHARA×ART×MIX+「conjunction- 名詞から接続詞へ -」』(千葉県市原市/千葉)
2021  『偶然の地層の上で』(howra 浅井裕介 + 高山夏希)(EUKARYOTE /東京)
2021  『HUMANYTY』(Rikka /東京)
2021  『六甲アート・ミーツ』( パルナソスの池 )(パルナソスの休憩古屋/兵庫)
2020  『VOCA 展 2020 現代美術の展望 – 新しい平面の作家たち – 』(上野の森美術館/東京)
2019  『群馬青年ビエンナーレ 2019』(群馬県立近代美術館/群馬)
   
Award
2016  神山財団支援プログラム 成果展 大賞
2016  アートアワードトーキョー丸の内 2016 後藤繁雄賞
2014  アートアワードトーキョー丸の内 2014 アッシュ・ペー・フランス賞
2014  TURNER AMBASSADORS 2014
2018  東京造形大学 修了制作展 ZOKEI 賞
 
https://natsukitakayama.com/

 
 


 

●新型コロナウィルス感染予防対策

 
【お客様へのお願い】
・ご来場時にはマスクの着用をお願いいたします。
・ご来場時には手指の消毒をお願いいたします。
・37.5℃以上の発熱や咳、全身痛などの症状がある場合、ご自身の体調に不安のある場合は、くれぐれもご無理なさらずご来場をお控えいただきますようお願い致します。
・お客様同士およびスタッフとの距離を十分に取れる空間確保のため、入場制限を設ける場合がございます。
・大人数でのご来場はなるべくお控えください。
・万が一関係者などから新型コロナウイルス感染症の発症があった場合、連絡を差し上げられるよう、ご連絡先の記入をお願い致します。

【当店の対策】
・1階の店内入口にアルコール消毒液を設置しておりますので、入店の際は手指の消毒をお願い申し上げます。
・地下1階の搬入口の換気をし、展覧会会場の換気を行います。
・2時間に1度、螺旋階段の手摺や、鑑賞用の椅子のアルコール消毒を行います。
・当店スタッフは毎朝体温を測定し、健康状態を確認のうえ出勤しております。手洗いと手指消毒を徹底し、マスク着用で対応いたします。
 
>>営業時間・店内での新型コロナウイルス感染症の予防と感染拡大防止対策について
 
 


 

●お問い合わせ

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NADiff a/p/a/r/t
150-0013 東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 1F
TEL. 03-3446-4977


※当面の間、営業日と時間を変更いたします。
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