●今回のもの
今回の所沢ビエンナーレで、私はデザイナーの川村格夫さんと共同で制作した本を出品する。ものを媒介にどのように人と関わるか、人と関わることでどのようなものが生まれ、また、そのものがその後どのように扱われ、人との関係を生んでいくか。その起点となるものを私はつくりたいと思っている。しかしながら、このテキストを書いている時点で、私はものに対して何もすることができない。川村さんが本を制作しているからだ。この期間に川村さんが何を考え、私が差し出した材料をどのように料理するのか。それを想像する時間に私は積極的な意義を感じている。川村さんが制作した本はそのままでは完成しない。今度はその本を素材に私が作品をつくる。所沢ビエンナーレの会場には、私の作品をもとに川村さんが作った本とその本をもとに私が作った作品を展示する。更に、展示されたふたつの作品(本と彫刻)は、川村さんの手により新たな本の素材として使用される。要するに、どこまでいってもものとの関わりは延々と続くことになる。今回、私がつくりたいものはそういうものです。
●書籍情報
所沢ビエンナーレ「引込線」2011
所沢ビエンナーレ「引込線」2011
編集:椎名節 写真撮影:加藤健 デザイン:大石一義
2011.10.28 / 発行:所沢ビエンナーレ実行委員会
B5:182×257mm / 336頁 / 2,500円(税込)
●Profile
冨井大裕(MOTOHIRO TOMII / とみい・もとひろ)
美術家/日本大学芸術学部美術学科助教
1973年 新潟生まれ
1999年 武蔵野美術大学大学院造形研究科彫刻コース修了
《主な個展》
1998 ギャラリー現(以後’99 ’06 ’09)/東京
1999 なるせ美術座(以後’02)/東京
2000 モリスギャラリー(以後’02)/東京
2003 art&riverbank(以後’07)/東京
2004 switchpoint(以後’05’06’07’08’09’10)/東京
2005 CAS/大阪
2008「企画展=収蔵展」アーカス・スタジオ/茨城
2009「かみの仕事」Art Center Ongoing/東京
2010「catch as catch can」現代HEIGHTS Gallery DEN/東京
「STACK」NADiff Gallery/東京
「ball pipe ball」玉川大学 Tamagawa Art Gallery Projects/東京
「つくるために必要なこと」金沢美術工芸大学アートギャラリー/金沢
2011「色と形を並べる」ラディウム-レントゲンヴェルケ/東京
《主なグループ展》
2005「芸術の山/第0合/発刊準備公開キャンプ/立体編その1」NADiff/東京
2006「基準の技術」KABEGIWA/東京
2007「ニュー・ヴィジョン・サイタマ Ⅲ 7つの眼×7つの作法」埼玉県立近代美術館/埼玉
2009「変成態―リアルな現代の物質性」ギャラリーαM/東京、
「第1回所沢ビエンナーレ美術展 ー引込線ー 」西武鉄道旧所沢車両工場/埼玉
2010「近藤恵介・冨井大裕 あっけない絵画、明快な彫刻」Gallery Countach Kiyosumi/東京
「冨永大尚+末井史裕+冨田大彰+森井浩裕+末田史彰+森永浩尚」switch point/東京
2011「MOTアニュアル2011 Nearest Faraway|世界の深さのはかり方」東京都現代美術館/東京
「彫刻・林間学校 アースバウンド」メルシャン軽井沢美術館/長野
「新しい立体造形:冨井大裕+照屋勇賢」旧ウォーク館(前橋美術館建設予定地)/群馬
「横浜トリエンナーレ2011 OUR MAGIC HOUR 世界はどこまで知ることができるか?」
横浜美術館、日本郵船海岸通倉庫/横浜
「所沢ビエンナーレ美術展 2011 ー引込線ー」
所沢市生涯学習推進センター、旧所沢市立第2学校給食センター/埼玉
「呼びとめられたものの光」名古屋ボストン美術館/愛知
※NADiffWindow Galleryは、NADiff a/p/a/r/tのエントランス左手、ガラスのウィンドウ越しの小さなギャラリーです。
箱庭風の白い空間にて、ユニークな企画をご紹介してまいります。
●お問い合わせ
NADiff a/p/a/r/t
150-0013 東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 1F
TEL. 03-3446-4977