営業日:木、金、土、日、祝
営業時間:13-19時 ※12月17日(土)のみ18時閉店
TALK EVENT
津上みゆき × 諏訪敦 「リアルの在処」 ※受付終了しました
日 時:2022年12月9日[金] 19:00-20:30(開場 18:45)
会 場:NADiff a/p/a/r/t
入場料:1,100円(税込)
>>ご予約
スライド1枚目中央:View, A River, No.05, 2022/サイズ:H194×W97cm
スライド1枚目右:View, A River, No.06, 2022/サイズ:H194×W97cm
スライド2枚目:View, A Cherry Tree, 11 March 2022, 12:12pm/サイズ:H194×W112cm
以上4点 制作年:2022年/素材:顔料、アクリル、その他、キャンバス/©︎Miyuki Tsugami/撮影:三嶋⼀路
Courtesy of ANOMALY
●概要
この度、NADiff a/p/a/r/tでは、津上みゆきの展覧会 「囁く如く」を開催いたします。
画家・津上みゆきの作品タイトルに冠された“View”という語は、単に眺めや⾵景だけを主題にするのでなく、⾒⽅や観点という広義を意識した制作に取り組んでいることを⽰しています。⽇々おこなうスケッチを通して、⾒て描くことから導かれる眼前という場所性、⼟地の由縁や歴史を踏まえ、津上の⾵景画は過去から現在までの流れる時間をも表現しています。
本展では、NADiff a/p/a/r/tの近隣を流れる都⼼の川の取材を経た⼤型作品群を、地下のギャラリーにて発表。かつての水脈の気配を感じるひっそりとした地下空間で、川をめぐる現在の風景に土地の歴史を重ね合わせた作品群が迫るように鑑賞者を取り囲みます。また1階の書店空間では、貴重な作家のスケッチブックとともに新作のキャンバスや繊細な紙作品、版画⼯房 エディション・ワークスでこれまでに制作してきた全版画作品も展⽰。作家にとってかけがえのないモチーフとなっているアトリエ脇の早咲きの桜の⽊の様々な時を描いた作品を中⼼に、津上の作品を総覧できる貴重な機会となります。
本展はCADAN 有楽町での、津上みゆきの個展「さらさら、ゆく」と同時開催となります。かつて海であったCADAN 有楽町のある⼟地についての丁寧なリサーチに基づき⽣まれた⼤作など、新作約15点を展⽰。⼈の住まう街に古くからある⾃然の⽔脈の今の姿と、⼈の⼿でもたらされた古くは海であった多くの⼈々が⾏きかう都⼼のオフィス街。今を⽣きる私たちそれぞれの⾵景と重ね合わせながら、展⽰空間と作品との関係性をも踏まえた両展を、どうぞご⾼覧ください。
囁く如く
不可解な自然現象に周期を見出し暦として整え使用する。古くから世界各地で発展してきた様々な暦に人と摂理の融和をみる。夏至とは年期を24に分けて表した二十四節気にみる名称で、一年で最も長い時間をかけて太陽の光が地球に降り注ぐ日である。その対である冬至は光の折り返しのようにその地点から日増していく。最も短い日照時間を境に新しい一年が始まるという思想にも頷ける。遠くで熱を生み、人知が今もって届かぬ摂理によって、生物が住む場所を照らしている光は、あらゆる動植物に関わり、何処にも在るひとりひとりの繰り返される日々に寄り添い、また人々がそれぞれの場所で形成する社会の根幹となる。それぞれの日常に位置する唯一の光は、当たり前を知るきっかけの為に一定周期を伴う暦を生み、揺れ動く人々の間で培われた。このような暦の実際の不可思議さは、風景と名付けられているものごとと重なり、双方ともいつしかぼんやりと見知っていると感じてしまう実体のなさに、人の身勝手さや自由さ、諦めていくこと、生きていくこと、光や影、その間、物事の多面へと思考は駆け巡る。
2022年6月17日、夏至となる21日より少し前の日、恵比寿界隈を流れる渋谷川に初めてスケッチで出会った。這いまわるような川に少しの光が降り注ぐことで見い出される風景は、人々の生活の隙間を走りゆく。住居や雑居ビル群や高層ビルなど、人の日常を縫う。紐解いた渋谷川についての書物は、都市に流れる川の移り替わる姿を、さながら偉人伝のような動乱を立体的に編んでいた。波乱万丈といえる小川の物語は、時に枝分かれ時に消息不明となり、水の痕跡は都市の端々に刻まれている。人に寄り添い、いつしか人に捨てられ、時の推移と共に交わした人々との多面的な関係の結果、川という水を集めた束の名残りは、地下の其処かしこに点々と散在する。そのような経緯の水流をも抱く土地とは、自然と相反する物質なのか。
翻って、地上には人と異なる生物の巡りがある。誰が植えたのか、住処の傍らの一本の古木は、おおよそ同じ時期に花を咲かせ実をつける。いつしか繰り返すその周期を、見知らぬ誰かと時を隔てて見つめている。
近くに渋谷川が流れている書店の通りに面した大きな窓ガラス越しに、今日この日という太陽が降り注ぐ。まるで水流のようにくるくると螺旋階段で昇降する地下の空間には、かつての水脈の気配が満ちていて、そこに降り立つと、足裏に接する地面の下から、漂う水の深層に思いを馳せる。
作品展示は2022年12月18日まで、冬至は数日後の22日にやってくる。
●TALK EVENT
津上みゆき × 諏訪敦 「リアルの在処」
開催日:2022年12月9日(金)19:00-20:30 (開場:18:45)
開催場所:NADiff a/p/a/r/t店内
参加費:1,100円(税込)
定員:30名
※満席のためご予約受付を終了いたしました
●EVENTご参加方法
要予約 / 前払い制(ご入金をもって、ご予約完了となります)
①NADiff ONLINESHOP
※クレジットカードでのお支払のみ(お支払完了後、ご予約受付完了のお知らせをお送りいたします)
②ナディッフアパート店頭 :
※現金でのお支払をご希望の方は、事前にご来店の上レジにてお申し込み下さい。
※キャンセルはお断りしておりますが、やむを得ない場合はイベント前にお問い合わせください。(03-3446-4977 またはメール)
※イベント終了後のキャンセルについては、ご返金はできません。予めご了承ください。
※当店の判断によりイベントが中止となった場合は、全額ご返金いたします。
●同時開催
津上みゆき 個展「さらさら、ゆく」
Miyuki Tsugami : Flowing, Ever Flowing
2022⽉11⽉22⽇(⽕)〜2022⽉12⽉11⽇(⽇)
会 場:CADAN有楽町・東京
休廊⽇:⽉曜⽇
https://cadan.org/
●PROFILE
津上みゆき|Miyuki Tsugami
1973年東京に生まれ大阪に育つ。神奈川県在住。京都芸術大学大学院修了。1996年NY滞在中に制作、作品について再考する機会を得、帰国後独自の絵画を改めて探求し始める。2003年VOCA賞受賞。2005年大原美術館が行う滞在制作プログラムにおいて日々のスケッチを元に風景画を描くという現在まで続く制作方法を確立した。全て作品のタイトルには“View”という言葉を冠しており、それは単に主題が眺めや風景だけでなく、見方や観点という広義を意識した制作に取り組んでいる事に由来する。2013年五島文化財団美術新人賞受賞。 風景画誕生の地と言われるイギリスに滞在し、制作するとともに過去の風景画家とその作品についての研究と制作を行った。主な個展に、2005年「ARKO 津上みゆき」(大原美術館)、2013年「View-まなざしの軌跡、生まれくる風景」(一宮市三岸節子記念美術館)、2015年「日本の風景、ウッカーマルクの風景」(ドミニカナークロスター・プレンツラウ/ドイツ)、2018年「時をみる」(上野の森美術館ギャラリー)、2019年「View−人の風景」(長崎県美術館)。
●PROFILE|TALK EVENT
諏訪敦|Atsushi Suwa
画家。1967年北海道生まれ。1994年に文化庁派遣芸術家在外研修員としてマドリードに在住。帰国後、舞踏家の大野一雄と大野慶人親子を描きシリーズ作品を制作。これを契機に絵画の原点回帰としての写実表現から、取材プロセスに比重を強めたスタイルへの展開を見せている。
成山画廊、Kwai Fung Hin Art Gallery など内外で発表を続け、2011年、NHK 『日曜美術館 記憶に辿りつく絵画~亡き人を描く画家~』 での単独特集、2016年には、ETV特集 『忘れられた人々の肖像“画家 諏訪敦 満州難民を描く”』 が放送され、その制作の徹底性が、一般層にも知られる事となった。
2018年 武蔵野美術大学造形学部油絵学科教授に就任。
府中市美術館にて2022年12月17日(土)から2023年2月26日(日)まで、美術館での個展としては11年振りとなる 諏訪敦『眼窩裏の火事』 が予定されている。