最終日は17:00終了
(1F店舗は通常営業20:00迄)
NADiff Galleryでは、丹羽良徳個展「解釈による犯行声明」を開催いたします。
丹羽良徳は1982年、愛知県生まれ。国内外の公共空間や政治的な場を舞台に、「共産主義」や「貨幣価値」、「物や土地の所有権」を巡る人々や組織に対してある行為を試み、その交渉の過程を映像に収めるなど、公共空間の中で様々な行為を試みることによって、社会や歴史に介入する作品を制作しています。一貫したその制作態度は、タイトルに表される命令とも言える言語による指示と、それを実現した時に起こる諸問題と「解釈」を巡るものです。
本展では言語が持つ特有の働きとその矛盾をテーマに、「取り扱い説明書」、「憲法」、「犯行声明」、「マニフェスト」、「政治談話」…など、異なる国、時代、目的で発信された過去の言語ソースをとり上げ、それらに対して丹羽が「解釈」で応答するパフォーマンス、インストラクションを中心に、もしくは東日本大震災直後に自身が着想したプラン『国会議事堂を福島に移転する』(2011年)や、『銀行ATMで偶然後ろにいた人に預金全額を振り込む』(2014年)といった実行されなかった作品の再評価を含めて展開します。また日本未公開のビデオ作品『意図的に違う意味の通訳付きで演説する』(2013年)、『台湾の路上で偶然出会った人に、死んだら台湾が消滅すると宣言してもらう』(2014年)も併せて展示予定です。
言語を経由して物事を「解釈」する際に生じる、認識のずれ、あるいは誤解、誤読、誤認。他者にとっての「解釈」というものを用いて世界を再構築することはできないか。丹羽は時代や発信者の目的を越えて、言語と「解釈」のあいだにあるはっきりと見えないその空間を照射し、多様な視点や価値観が矛盾なく(もしくは自然な状態で矛盾しながら)同時に存在しているという状況を、登場人物に宣言させ、歌わせ、通訳させるといった行為から浮かびあがらせ、あくまで矛盾を受け入れるのです。
歴史という過去の時間に潜り込み、既に完了した出来事の様にみえる歴史に丹羽自身の「解釈」を重ねていくことで、過去の記述から〈あり得なかった過去〉と同時に、〈あり得なかった未来〉をも作りだそうという実験的な試みを、展示空間で体現してゆくことになるでしょう。会期中には予告無く行われる滞在制作や展示替えによって、展示、構成などが有機的に変化し、「犯行声明」のかたちが新たに作られ、更新されるかもしれません。
本展会期中には、2冊の丹羽良徳新刊著書の発売に同期したトークイベント、及び丹羽良徳誕生日会等も開催予定です。国内外問わず各地で展覧会、プロジェクトを控えつつ同時進行する丹羽良徳の、東京では2年ぶりの作品発表の機会となります。
協力:Art-Phil, UMISHIBAURA
●EVENT
「丹羽良徳の誕生日会をする」
2015年9月18日[金] 19:00 – 21:00
本展のオープニングの翌日、33回目の誕生日を迎える丹羽良徳を囲み、誕生日会を行います。
嗚呼、斯くも挑発に満ちた愛と血の人生!
「特装版公開制作」
2015年9月23日[水・祝] – 27日[日] 12:00 – 17:00
ギャラリー内で、「歴史上歴史的に歴史的な共産主義の歴史」の特装版をカスタマイズする様子を公開する5日間。それぞれ出来上がったものは順次ナディッフ店内で販売。
「犯行声明、あるいは歴史と天麩羅のひみつ ─ 東京-ロンドン-京都-東京」
>> トークイベントアーカイブページはこちら
丹羽良徳が本展会期中、ロンドンと京都での展示を経て東京に帰還します。
果たして、丹羽良徳の「共産主義シリーズ」はマルクスの眠る地ロンドンで、新自由主義的資本主義へのオルタナティブを提出し得たのだろうか?
そして、プレカリアートの暗い不安を超えて、ふわふわとした天麩羅のように過ぎる私生活は如何に?
ゲストに批評家 佐々木敦氏を迎え、丹羽良徳のアートの現在とその周辺について赤裸々に語ります。
日 時:2015年10月24日[土] 15:00 – 17:00
開 場:14:30
ゲ ス ト:佐々木敦(批評家・早稲田大学教授)
出 演:本田江伊子(インデペンデント・キュレーター/ロンドン),後藤知佳(UMISHIBAURA)+岡崎由佳(『天麩羅』デザイナー),丹羽良徳
モデレーター:F.アツミ(Art-Phil)
●展覧会関連企画
facebook「丹羽良徳の日誌 ─ 犯行声明」
>> facebook site
●新刊情報
『歴史上歴史的に歴史的な共産主義の歴史』
版元:Art-Phil
仕様:B5変形(h250×w166mm)、本文1色刷り(一部4色刷)、ドイツ装、228頁(224+4頁)
標準版価格:3,189円+税
特装版価格:6,378円+税(ed.70)
石棺特装版:180,000円+税(ed.3)
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丹羽良徳による共産主義シリーズ作品のモノグラフ。一連のビデオ・イメージや字幕をもとに編集された同書には、これまで丹羽良徳と仕事をしてきた世界各地の気鋭の若手キュレーターらによる批評的エッセイを収載。1980年代生まれの「歴史を知らない」アーティストが追い求める世界史の現在に、グローバルに共有されている理論的な視角とともに迫る。今、私たちが生きる国家、政治、社会、そしてアートとは?
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NADiff限定特典つき!先行予約受付中
ご予約期間:2015年8月25日 – 9月17日
特典:犯行声明文(通常版/特装版共に同じ特典になります)
終了いたしました
『過去に公開した日記を現在の注釈とする:天麩羅』
版元:UMISHIBAURA
仕様:A5タテ変形(h210×w125mm)、 本文2色刷り、324頁(予定)
価格:2,200円+税
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丹羽良徳が2008年から2014年1月1日までに、ブログ上で散発的に公開していた支離滅裂、公私混同の日記から約500日分を再編集した書籍。基になるブログは現在、2014年1月1日付けで「年が明けたからといっていい気になるなよ」で更新が止まっている。そこから過去に時間を遡らせ、ありえなかった出来事や新しい解釈や、明らかにもしくは意図的に間違った注釈を挿入していくことで、日記そのものの真実性と信憑性を排除して、2015年から過去を再構築し、自己修正主義的な過去の解体を目指す。
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NADiff限定特典つき!先行予約受付中
ご予約期間:2015年8月25日 – 9月17日
特典:生写真
終了いたしました
●Profile
丹羽良徳 Yoshinori Niwa
撮影:桧原勇太
1982年生まれ。アーティスト。不可能性と交換を主軸とした行為や企てを路上などの公共空間で試みることで、社会や歴史へ介入する作品を制作。
多くの場合は、交渉の失敗や他者からの反応などを含めたプロジェクトの一部始終を収めたビデオ記録を展示している。東ベルリンの水たまりを西ベルリンに口で移しかえる『水たまりAを水たまりBに移しかえる』(2004)など肉体を酷使した不毛な交換行為に始まり、震災直後の反原発デモをひとりで逆走する『デモ行進を逆走する』(2011)や都市の抗議活動を無関係な観光地まで延長させた『首相官邸前から富士山頂上までデモ行進する』(2012)など自身の状況を転置することで眼に見える現実を解体し、〈公共性〉という幻想のシステムの彼岸を露出させる新たな物語を作り出す。
近年は共産主義の歴史への興味から社会主義者を胴上げしようと現地の共産党で交渉する『ルーマニアで社会主義者を胴上げする』(2010)やソビエトが解体されたロシアの一般家庭を訪問してレーニンを捜し続ける『モスクワのアパートメントでウラジーミル・レーニンを捜す』(2012)など移り行く思想哲学とその歴史を横断するプロジェクトやマニラ市(フィリピン)のゴミ処理場を命名権ビジネスの舞台として展開させた『ゴミの山の命名権を販売する』(2014)など。近年の展覧会に「ダブル・ビジョンー日本現代美術」(モスクワ市近代美術館・ハイファ美術館、2013年)「あいちトリエンナーレ2013」(愛知芸術文化センター他、名古屋市近郊、2013)、「六本木クロッシング2013:OUT OF DOUBT」(森美術館、2013年)、「Forces at Work」(ヴァルガス美術館、2014年)他に参加。10月に、新刊「Historically Historic Historical History of Communism [歴史上歴史的に歴史的な共産主義の歴史]」と同名タイトルの個展をEdel Assanti(ロンドン)で予定。
《これからの予定》
2015年10月9日 – 11月21日
→ 個展「Historically Historic Historical History of Communism」Edel Assanti, ロンドン
2015年11月28日 – 12月18日
→ 個展「Technically Speaking, No One Cares(仮)」1335MABINI, マニラ
2016年1月15日 – 2月19日
→ 個展「ゴミの山の命名権を販売する(仮)」Minatomachi POTLUCK BUILDING, 名古屋
2016年3月 – 2017年2月
→ 平成27年度文化庁新進芸術家海外研修制度にて、ウィーン/オーストリア滞在
この他、10月に京都でグループ展、12月に香川でグループ展。
WEB: http://www.niwa-staff.org
●アーカイヴ
NADiff a/p/a/r/tにて2014年1月に開催した、丹羽良徳『公共性を再演する|作品の解説を23種の言語に翻訳する丹羽良徳の2004年から2012年の介入プロジェクト』重版記念イベントの記録を公開中です。以下のリンク先、『公共性を再演する』公式サイトよりご覧ください。
> >[アーティストブックの条件] 丹羽良徳 × 田中義久 (デザイナー) × 伊藤雅俊 (株式会社マイブックサービス) × 島貫泰介 (編集者)
>> [アートに公共性はあるのか?] 丹羽良徳 × 市原尚士 (読売新聞)
>> [公共性に条件はあるか?] 丹羽良徳 × 岸井大輔 (劇作家)
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NADiff Window Galleryにて、2012年2月に開催した丹羽良徳「ベルンで熊を拍手喝采する」の展覧会関連企画として開催したトーク記録です。