頭上ビックバン! 帽子おじさん宮間英次郎 80歳記念大展覧会

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NADiff Galleryではこの度、アウトサイダー・アーティストとして国内外の展覧会で紹介される、パフォーマー・宮間英次郎の展覧会を開催いたします。
宮間英次郎は1934年三重県伊勢に生まれ、以後様々な土地に移り住みながら、80歳になる現在は神奈川県横浜市を拠点に活動を行っています。宮間は様々に飾り立てた自作の帽子をかぶり、横浜を中心とした繁華街を練り歩く活動で「帽子おじさん」の愛称で知られています。その奇特な外見とパフォーマンスは、畸人研究学会、都築響一の取材によって度々記事になり、世に届けられては物議を醸してきました。
最大の特徴はその装いにあります。過剰に折り重なったオブジェが集積する巨大な帽子をはじめ、耳にぶら下げられた金魚が泳ぐ巾着、長く伸びた髪と髭、鮮やかな柄の古着で装った女性的且つミステリアスなコーディネートなど、そのどれもが属性を持たず、「なぜ」「どうして」という問いからはどこまでも遠く離れて、宮間英次郎の表現は意味の果ての極北に向かい猛進し続けています。
宮間英次郎の生み出す、その何にも似つかない驚くべき自己表現の様々な色・形、生の在り方を本展にてご覧頂きます。

出展協力 : 芦屋市立美術博物館、特定非営利活動法人 はれたりくもったり、鞆の津ミュージアム、日本財団、ART LAB OVA、山村千絵、小久保良子



Comment

「宮間さんの闇」
宮間英次郎さんと初めてお会いしたのは、当時の原稿を調べてみたら2004 年の夏だった。あれから もう10 年も過ぎてしまったとは。
宮間さんと最初にお会いした時、いちばん聞きたかったのはもちろん帽子づくりのきっかけで、そ のときはこんなふうに話してくれた──「ちょっと偉そうなことを言わせてもらえばね、世の中にはい ろんな悩みを持ってる人がいる。引っ込み思案で、女の子の前でしゃべれない人もいるじゃない。そういう人が “あのじいさん、あの歳になっても堂々とやってるじゃないか。俺もなんかひとつやってやろうじゃないか。同じことはできないけど” って、そういう勇気を与えたい。ハハハハハ。ちょっと、 こじつけかな?」。
アウトサイダー・アートには常に、「外の世界と折り合いをつけられない純粋な精神」みたいな神話がつきまとう。きれいなこころが、美しい作品を生むのだと思い込みがちでもある。でもそんなのは外の人間が抱く、都合いい「神話」にすぎない。  
いくら長く付き合っても、ぜったいに踏み込めない闇があって、だからこそ表現が生まれることを、宮間さんはやわらかな笑顔の奥から、バロック的に増殖し続ける帽子の陰から、僕に思い知らせてくれるのだ。
────都築響一


「宮間英次郎さん」
今回の個展の話を宮間さんに持っていった時、彼はとまどいを隠さなかった。「チンドン屋に毛が生えた程度のことしかやっていないのに……展覧会ならまだしも、個展なんて場違いな気がする」。
主として拾い物から作成した独自の帽子をかぶり、横浜や都内各地を巡るというパフォーマンスを 始めて20年。今や日本を代表するアウトサイダーアーティストとしての評価が定着し、日本各地、いや、外国の展覧会でも紹介されるようになったのにも関わらず、宮間さんは相変わらず自らのことを アーティストとは露ほども思っていない。
そんな宮間さんの姿を見ていると、ジャン・デュビュッフェの「芸術の最良の瞬間は、その名を忘 れた時である」との言葉を思い出す。芸術という言葉に囚われることなく、独自の表現の極北を歩み続ける宮間さんこそ、最も過激な表現者の一人なのだ。
────畸人研究学会




●EVENT



TALK EVENT 1
日時:2015年3月21日[土・祝] 17:00 – 19:00(開場:16:30)
出演:宮間英次郎 / 海老名ベテルギウス則雄 / 都築響一
会場:NADiff a/p/a/r/t 1F店内
入場料:1,000円 ※宮間英次郎さん傘寿記念絵葉書のお土産付き
定員:60名様
ご予約:TEL: 03-3446-4977 / mail. webshop@nadiff.com

TALK EVENT 2
日時:2015年4月11日[土] 17:00 – 19:00(開場:16:30)
出演:畸人研究学会
会場:NADiff a/p/a/r/t 1F店内
入場料:1,000円 ※宮間英次郎さん傘寿記念絵葉書のお土産付き
ご予約:TEL: 03-3446-4977 / mail. webshop@nadiff.com

※イベントは終了いたしました





●新刊情報



『畸人研究30号』
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特集:宮間英次郎さん傘寿記念
版元: 畸人研究学会
寄稿:都築響一、根本敬、タカノ綾、はたよしこ、他
価格:1,000円+税

>> Webshop




●Profile



畸人研究学会
畸人研究学会は何の因果か大学の同級生となってしまった今柊二、黒崎犀彦、海老名ベテルギウス則雄の3名により1994年に発足する。奇しくも宮間英次郎のパフォーマンス開始と同時期の発足である。「独自の世界観・宇宙観を激しく放出する」いわゆる畸人を日本各地、そして世界各国まで足を伸ばして探求し続け、現在に至る。


都築響一
1956年、東京生まれ。
76年から86年までポパイ、ブルータス誌で現代美術、建築、デザイン、都市生活などの記事をおもに担当する。
89年から92年にかけて、1980年代の世界の現代美術の動向を包括的に網羅した全102巻の現代美術全集『アート・ランダム』を刊行。以来現代美術、建築、写真、デザインなどの分野で執筆活動、書籍編集を行う一方、芝浦GOLD、恵比寿MILKなどの空間プロデュースも手がける。
1993年、自らカメラを手に、東京人のリアルな暮らしを捉えた写真集『TOKYO STYLE』を刊行 (99年、アメリカ・クロニクル社より英語版刊行)。このシリーズはその後、関西の都市部にまで枠を広げ、2001年『賃貸宇宙 (筑摩書房刊) と題した大冊として発表。
1992~96年、週刊SPA!誌上で5年間にわたって連載された、日本各地の奇妙な新興名所を訪ね歩く『珍日本紀行』の総集編『ROADSIDE JAPAN』を1996年冬に刊行 (アスペクト刊、2000年増補改訂文庫版東日本編・西日本編を筑摩書房より刊行)。同書により、第23回・木村伊兵衛賞を受賞し、写真家としても活動の幅を広げる。また、同書に登場する珍物件を新たに取材し、ハイビジョン映像に収めた『都築響一の珍日本紀行』がBS-i (TBS系の世界遺産専門チャンネル) にて2004年から2008年にかけて放送される。さらにこの「ROADSIDE」シリーズはその後、ヨーロッパ編 (筑摩書房刊、2004年)、アメリカ編 (アスペクト刊、2010年) も刊行。
1997年から2001年にかけて、プロフェッショナルではない人々によるデザインに注目したシリーズ写真集『ストリート・デザイン・ファイル』(アスペクト刊) 全20巻を刊行。
その後も現在に至るまで、秘宝館やスナック、インディーズ演歌歌手など「業界」が見向きもしない、名も無き人々の生き様や創作活動に光を当て、日本および世界のロードサイドを巡る取材を続行中。
2010年、広島市現代美術館にて、そのライフワークの集大成ともいうべき初の大回顧展「HEAVEN―社会の窓から見たニッポン」を開催。
NADiff では、「大竹伸朗×都築響一: 青山秘宝館」(1998.4-5)、「暗夜小路 上野~浅草アンダーグラウンド・クルーズ」(2011.12-2012.1) を開催。