NADiff 2周年記念イベント 2奈良美智― in the Floating World ―4月2日(金)- 5月10日(月) |
現在ケルンをベースに制作活動をする奈良美智は、世紀末日本の子供たちを見つめることを通して独特のアクチュアリティーをもった絵画世界を確立しつつあります。現代社会が抱えるディス・コミュニケーションの構造を的確に捉え、悲しみと優しさの入りまじる切実な表現に昇華しているといえるでしょう。今回の新作で奈良美智は、浮世絵版画を借景に見立てました。不機嫌に主張する視線。あどけない肢体と不釣合いな大きな頭。浮世絵という見知らぬ海に顔を出した少女は、ユーモラスで不条理な風景にとまどっているようにも見えます。江戸町人文化の象徴であった浮世絵の中で、自ら20世紀末のロウ・カルチャーを称する奈良美智の子供たちが戯れる有様は、これまでにない興味深い展開と言えるでしょう。また初めてのエディションとなる今回の連作で、奈良美智はコピーというメディアを選びました。当時の浮世絵の木版と同様、これらの連作は現代の都市生活の中で最も身近で日常的なコピーというメディアを通じて表現されます。新作木版画とドローイング、インスタレーションなど様々なアプローチを通じて、[in ihe Floating World]をお楽しみください。 ■ギャラリー・トーク |