東恩納裕一「Hina-Gata」Curated by Azumaya Takashi2000年3月3日(金)→ 3月27日(月) |
雛形(ひながた)=実物をかたどって小さくしたもの。モデル、模型、様式・・・。東恩納裕一は、住宅広告やインテリアカタログの図象、リボン、レースのカーテン、花柄プリントなど、私たちが見過ごしてしまうほど身近にありふれた素材をもちいるアーティストです。彼は日本の「中流」を思わせるそれらの商品や様式を簡潔に組み合わせ、私たちの記憶、日常感覚に直接切り込みます。「ファンシー(Fancy)」という言葉の似合うその作品世界は、昨年2月の世田谷美術館でのグループ展「時代の体温ART/DOMESTIC」でも、ひときわ異彩を放ちました。深刻な不況を経験した後、非日常的な事件が連日報道される現在、私たちが共有する「日常」のイメージは揺らぎつつあります。日本の女性性を祭り上げる家庭行事「雛祭り」の日から始まるこの展覧会は、一見なごやかな「豊かさ」「家庭」「男女」のイメージに対する問いかけでもあるのです。(東谷隆司・キュレーター) ●ギャラリー・トーク |