■若林奮《緑の森の一角獣座》の「過程」
第一会場 ナディッフ
■若林奮《緑の森の一角獣座》の「未来」
第二会場 ビューイングルームヨツヤ(ユミコチバアソシエイツ TEL.03-5360-3461)
《緑の森の一角獣座》は、東京都西多摩郡日の出町のニツ塚ゴミ処分場内トラスト地に彫刻家の若林奮が製作した作品です。水源地に漏出するおそれのある有害物質について、明確な処理案をもたないまま進められる処分場建設に危機感を抱いた若林は、森を見つめ直すための「庭」の構想をまとめました。「庭」は多くの人々の協力によって製作され、詩人の吉増剛造が《緑の森の一角獣座》と命名しました。この展覧会では、その構想のイメージスケッチ、成長していく姿、様々なメディアに伝えられたドキュメントなどによって、これまでの「過程」を明かにし、さらにトラスト地の強制収用が予想される中で、若林の前に出現した今後の「庭」のヴィジョンを「未来」として展示します。この「過程」と「未来」の展示は、これまでにない社会的芸術として立ち上がった《緑の森の一角獣座》の姿−若林奮が実現しようとしている自然と芸術の新たな様相を浮かび上がらせるでしょう。代表作である《大気中の緑色に属するもの》に見られるように、若林の作品は、彫刻も自然の一部として、その大いなる循環の中にあるという思想を以前から内包していました。《緑の森の一角獣座》はそれをさらに明確に示し、多くの人々に共有されることで、これまでの若林の芸術を集約する存在になっています。この展覧会を通して、深い内省を誘う物静かな《緑の森の一角獣座》が、若林の精神内部では、驚くほどのダイナミックなイメージで展開されていることが明かされるはずです。
■シンポジウム 4月1日(土)午後3時
パネリスト / 水沢勉(神奈川県立近代美術館 学芸員)
小泉晋弥(茨城大学教育学部 助教授)
西澤美子(新美術新聞 記者)
《緑の森の一角獣座》の存続を求める活動に深く携わってこられた諸氏を迎え、作品制作の秘話や作品を森に残す運動の現状などについて語って頂きます。 |