ラディカルな絵画作品を中心としながら、立体、インスタレーションと活動領域を広げ 、つねにアクチュアルな存在として目の離せないアーティスト大竹伸朗。名付けようのないもの、目に見えないものを、様々な表現で捕らえようとする彼の仕事は、しばしば アナログな手作業の限界に挑んできた歴史ともいえるでしょう。その大竹伸朗が、初めてインクジェット・プリントを前提にしたコンピュータによる作画に挑みました。約4ヵ月にわたる集中的な創作を経て完成された“大竹伸朗デジタルワークス「鼠景」”は、文字どおり格闘に近い作業プロセスから抽出されたものです。このデジタルワークスは、大きく二つの方向性に分けることができます。その一つは、「デジタルな表現におけるドローイングとは何か」という問いかけに応えようとするものです。既存の概念でとらえたドローイングとは原理も方法も異なる地平で、在りうる限りのドローイングの可能性に挑戦しています。もう一つの流れは、「デジタル表現におけるオリジナリティの追求」です。それは、作品そのものがデータの集積であるという事実を忘れさせるような、コンピュータの作画機能を超越して到達した、今までにない極めてスリリングな表現といえるでしょう。〈エプサイト〉と〈ナディッフ〉の展示は、いずれも大竹伸朗自身によって構成され、未知の世界が二会場で同時に炸裂します。
大竹伸朗 Shinro Ohtake
1955年10月8日、東京生まれ。1980年武蔵野美術大学油絵科卒業。内外での個展、グループ展を多数開催。近年では1999年「時代の体温」展および2000年「日本ゼロ年」展に大作で参加。KPOキリンプラザ大阪において個展「ダブ景」を開催。一方、早期から音楽活動も展開。1995年にはヤマタカEYEとアート/サウンド・ユニット「パズル・パンクス」を結成し、CD制作、ライブ、展覧会を行う。このほか小説、エッセイの出版など、創作活動は多岐にわたる。
|
大竹伸朗デジタルワークス 鼠景/マウスケープ カタログ
32ページ、中綴じ、91図版、別刷りの詳細な年譜・資料付。
EPSONミュークリスタ・プリントで出力された「0の肖像」「1の肖像」の部分添付。
価格 2,000円(税抜) |
■第1会場/epSITE (エプサイト)/4月26日(木) → 7月1日(日)
会期中無休 入場無料 10:30―18:00 東京都新宿区西新宿2-1-1新宿三井ビル 03-3345-9881
・ギャラリートーク/4月28日(土)4時 美術史家 伊藤俊治×大竹伸朗
■第2会場/NADiff (ナディッフ)/4月26日(木) → 6月10日(日)
会期中無休 入場無料 11:00―20:00 東京都渋谷区神宮前 4-9-8 B1 03-3403-8814
)国 ・ギャラリートーク/4月29日(日)4時 アーティスト 八谷和彦×大竹伸朗
|