2000年1月、水戸芸術館で開催された『日本ゼロ年』展の最終日、異例の「番外企画」として展示されたヲダマサノリの作品を記憶されている方もあるでしょう。「裏ヴァージョン」として制作されたそのインスタレーションは、展覧会コンセプトである「日本現代美術のリセット」という野心的な企みがリミックスされ、中央には「`70年万博の会場」が配されていました。キュレーションにあたった椹木野衣氏を瞠目させたこの作品は、会期終了後ナディッフ店内で全貌を顕わし「日本・現代・美術・沈没〜ナディッフミックス」と題して公開されました。その後ヲダマサノリは、椹木氏、美術家ヤノベケンジ氏とともに千里の万博跡地を訪問。《太陽の塔》に潜入したヲダの「内的体験」は、新たな創作の発火点となりました。かつてケニアでフィールドワークを行い、シャーマニズム儀礼を美術批評的な観点から研究してきた民族学者ヲダマサノリ。彼は《太陽の塔》の中で何をつかみ、岡本太郎の向こう側に何を見たのか。今回の展示は、岡本太郎がテーマプロデューサーを務めた`70年日本万国博覧会の一般公開日と同じ 3月15日からスタートいたします。
■ギャラリートーク
・3月22日(木)午後6時より ヲダ・マサノリ
・4月6日(金)午後6時より ヲダ・マサノリ + 岡本敏子(岡本太郎記念館館長)
ヲダ・マサノリ プロフィール
昭和41年(1966年)1月17日、福岡生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。水戸芸術館「日本・現代・美術・沈没」(2000年)、表参道NADiff「日本・現代・美術・沈没」(2000年)。大学院では民族学を専攻。1989年から1996年にかけて東アフリカのケニアでフィールドワークを行い、現地のトランス系カルトに楽団員として参加。デリダのテクストから学んだ脱構築論な視点と「サンプリング」と「リミックス」の概念を使って、シャーマニズム儀礼を美術批評的な観点から論じた研究を行う。現在、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所・COE非常勤研究員、実践女子短期大学非常勤講師。大学で日本のサブカルチャーを講じるかたわら、現代音楽や音響系DJとしても活動中。この秋、横浜で開催される「横浜トリエンナーレ2001」に正式出展予定。共著『人類学のコモンセンス』学術図書出版、共著『不幸の解読』平河出版社。 |