今回ご紹介するのは、フィロソフィック・エンジニアを自称するアーティスト篠田太郎の『パーソナル サテライト プロジェクト』(以下PSP)の第2弾です。 この計画は、篠田個人の行為としてロケットを開発し、日本の上空に静止衛星を打 ち上げ、さらに白鳥座の惑星に向けて探査衛星を打ち上げようとするものです。PSPの第一目的は、現在、地球の静止衛星もしくは周回軌道上にある 15 センチ 以上の物体をすべて捕捉している米国NASAのコロラド基地レーダーにキャッチされ、衛星の名前を登録してもらうことです。第二の目的は、PSPに永久性と自己完結性を象徴させること。これは、現在われ われが生物として抱えている問題の解決の概念であると篠田は考えます。そして、さらなる目的として掲げているのは「惑星間文化交流」。打ち上げた探査衛星 から自己存在のアピールを行い、異星人との文化交流を図る目論みです。白鳥座の惑星をターゲットに設定したのは、ここに異文化が存在する可能性があるとの予測をもとにしています。PSPをスタートした篠田は、日本における宇宙ロケット開発の第一人者である的川泰宣博士に会い、プロジェクトに込めた自身の志を語るチャンスを得ました。 ナディッフのギャラリーで展開するのは、的川泰宣博士との対談にインスパイヤされた『パーソナル サテライト プロジェクト2』といえるものです。
■ギャラリートーク/6月22日(金)6時
ホスト:篠田太郎
ゲスト:八谷和彦 (アーティスト)、眞島竜男(アーティスト)
『パーソナル サテライト プロジェクト』に着手した篠田太郎は、昨年アーティス トの八谷和彦氏、眞島竜男氏とともに埼玉県吉田町を訪れ、秀吉の時代から受け継がれてきたロケット《龍勢》を視察した。今ではこのロケット打ち上げが五穀豊饒を祈願する神事となり人々の重要な祭の要となっているなど、視察の模様をお伺いします。
篠田太郎 TARO SHINODA
1964年東京生まれ。造園家、グラフィックデザイナーを経て1995年より現代美術作家として活動。科 学、哲学のアディアを独自の解釈でアートに展開してきた。
[過去の作品]日本庭園の発想から制作した「ミルク」DNAの型を基本とした冬眠ベッド「ハイバーネーション」 人間の進化をテーマにした「ケーヴマン」双児の少女の食傾向を観察する「メディアム」
トカゲの脳を解剖する「リーザード」など 。 |