山口晃 「日清日露戦役擬畫」2002年8月9日[金] → 9月8日[日] |
伝統的な大和絵の手法を用いながら、古今東西の事象や風俗を、時空をワープさせながらヴァーチャルな風景として再現する山口晃。古典的な画面構成や緻密な線描を駆使した表現は一見生真面目な印象を与えますが、細部には騙し絵ともいえる巧妙な仕掛けが張り巡らされています。このユーモラスともいえる山口の表現は、明治以降アートが盲目的に西洋絵画を受け入れ、伝統的なアイデンティティを蔑ろにしてきたことへの批判でもあり、現代社会への風刺の視線でもあるでしょう。『日清日露戦役擬畫』に立ち現れる歴史や現実の事象との「ズレ」は、奇妙な混乱とともに近未来的な、新たな快感を与えてくれるでしょう。 |