●アーティストトーク = 12月2日[火]18:00〜20:00
森山大道 x 蔦谷典子(島根県立美術館・主任学芸員)
1960年代末、それまでの写真概念を根底からくつがえすラディカルな表現で登場した森山大道は、日本の写真界に大きな衝撃を与えました。「なぜ写真はピントが合っていなければいけないのか。なぜ調子がこんなにまできれいでなければいけないのか」(『フォトアート』69年7月号)と語る森山の写真の独特なイメージは、先鋭の若手写真家のみならずアマチュアの間にも波及。森山の写真表現に見られた、荒れた調子や被写体がブレたりボケたりする不鮮明な画像は「アレ、ブレ、ボケ」という言葉で形容されて流行しました。
また、森山大道は「カメラは現実の複写機である」と語り、他人が制作した画像も被写体となると考えました。1969年のアサヒカメラに連載されたシリーズ《アクシデント》では、現実を撮影した写真と併せて、テレビや電送写真、新聞に用いられた映像の複写を掲載し、「写真・森山大道」ではなく「複写・構成:森山大道」と記載。複写と実写を「等価」に捉える森山の立場と同時に「コピー」という媒体への関心がうかがわれます。
今回ナディッフでは、森山大道の待望の全集第1巻の出版(全4巻予定)に際して、インスタレーション展示を行います。タイトルの「コピラージュ」が示すとおり、インスタレーションではオリジナル・プリントに加え、全集の校正刷り(印刷媒体)とプリント写真のコピー(複写)を複合的に用います。
写真は、アートでもクリエイトでもなく、
ただひたすらコピーでありつづけるから素晴らしい。 森山大道
ナディッフのインスタレーション展示「コピラージュ」では、ほかでは表現できない斬新なアプローチが見られ、森山大道の表現の軌跡に新たなる一頁を記すことになるでしょう。
●森山大道 全作品集 全4巻 1964-2003
巻数:全4巻/4巻合計図版数:5,700点/発売予定日:第1巻2003年12月、第2巻2004年2月、第3巻4月、第4巻6月(予定)/ページ数:約600頁(1巻あたり)/サイズ:280x220mm/価格
25,000円(税込)/発行:(株)大和ラヂエーター製作所/制作:D-Project
◎スペシャルエディション
限定100部/全作品集4巻/カラープリント1点付(20種類、各ed.5、70年代撮影)/240x290mm/プリントの裏に直筆サインとスタンプ/価格
157,500円(税込)
森山大道(もりやま・だいどう)
1938年 (昭和13年)大阪府池田市生まれ。
1967年 「にっぽん劇場」などにより日本写真批評家協力新人賞を受賞。
1968年 同人誌「プロボヴォーグ」に参加。
1972年 「写真よさようなら」、「狩人」を出版。
1983年 日本写真協会年度賞受賞。
1999年 サンフランシスコ近代美術館をスタートに大規模な森山大道展が海外で巡回する。
2003年 「新宿」により毎日賞受賞。パリのカルティエ現代美術財団で個展。
東京都在住。 |