『あっぷあっぷ』福永信・村瀬恭子"Appuappu" FUKUNAGA Shin/MURASE Kyoko2004年4月23日[金]−5月23日[日] |
■作家来店日:2004年4月24日[土] 福永信がはじめて村瀬恭子の作品に遭遇したのは2001年。直島コンテンポラリーアートミュージアムの「スタンダード」展で作品と出会い、感動を覚えました。さらに翌年、東京都現代美術館の「フィクション?」展でふたたび作品にふれた福永は、自分と響き合う何かがあるという思いを深めました。そして単行本の話がもちあがった時、言葉と絵で満された世界を創りあげたいという発想がうまれ、これは村瀬さんにお願いするしかないと直感しました。 福永はタカ・イシイギャラリーを訪ねて、ドイツ在住の村瀬恭子にメッセージを送り、個展のために来日した村瀬と対面。小説とヴィジュアルの共著というかたちで本をまとめることを提案しました。それから一年にわたってドイツと京都の間で意見を交わしあった末、実作業が始まったのは昨年の春でした。村瀬はドローイングの断片を、福永は書きかけの言葉を、それぞれ思いつくままに送り合い、どこにたどり着くのかも分らないとりとめのない日々が続きました。そしてついに一つの完結を見た二人の作品は、一冊の本に結実。装丁のイメージは村瀬恭子、本文のレイアウトの原型は福永信が考え、「spoon.」のADを手がける葛西恵のデザインによって整えられました。 福永と村瀬の往復書簡的コラボレーションは新刊『あっぷあっぷ』によって一区切りされましたが、どこまで行ったら本当に終りなのか、行く手にどんな可能性が秘められているのか、誰も知ることはできません。ナディッフの展覧会『あっぷあっぷ』では、単行本にまとめた後も続くふたりのやりとりをお見せすると同時に、単行本には収まりきらなかった表現も披露。村瀬恭子のウォールペインティングや福永信が壁面に直接文字を書く行為と併せて、新刊のためのドローイングなども展示し、本とは異なるもう一つの『あっぷあっぷ』が展開されます。
福永 信 ふくなが・しん (作家)
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