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戦後、1960年代末にイタリアに起こった芸術運動「アルテ・ポーヴェラ」。それは批評家のジェルマーノ・チェラントの命名によるもので、ミケランジェロ・ピストレット、ジュリオ・パオリーニ、ヤニス・クネリス、ジュゼッペ・ペノーネ、アリギエロ・ボエッティ、ピーノ・パスカーリなどの美術家の、一群のつながりとして捉えられています。けれどもその運動の内実は、時を隔てた現代でもなお、かならずしも明確に定義されているわけではありません。 しかし、アルテ・ポーヴェラの底流には、芸術と生、反近代主義、テクノロジーやマスメディアによるスペクタクル社会、都市空間の変容、フォームとプロセス、同一性と反復、彫刻とインスタレーション、歴史化と芸術経験、美学と政治の問題など、その後の現代美術や批評理論が考えつづけてきた数々の問題が、まさに伏在していたとも言えるのではないでしょうか。 今回のトークでは、「芸術作品自体を根源的に条件づけている」感性=政治の場を問題にするというアプローチで、アルテ・ポーヴェラの全体像に肉薄するモノグラフを上梓された池野絢子さんと、美術批評家の沢山遼さんをお招きします。アルテ・ポーヴェラの内実、さらには戦後以降の芸術が抱えている問いについて、批評的な角度からお話しいただきます。 |
商品情報 |
池野絢子
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関連フェア |
≪貧しい芸術vs豊かな芸術≫選者:岡田温司(西洋美術史)、金井直(西洋美術史)、池野絢子 イタリア語で「貧しい芸術」を意味する「アルテ・ポーヴェラ」。それは、1960年代末に批評家ジェルマーノ・チェラントにより命名された、一群の芸術家たちの緩やかな連帯である。戦後の高度経済成長を背景にして、芸術と社会はどのように変わろうとしていたのか。 |
イベント出演者Profile |
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池野絢子(いけの・あやこ)1981年生まれ。京都造形芸術大学大学院芸術研究科(通信教育)准教授。 京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。京都大学博士(人間・環境学)。日本学術振興会特別研究員(PD)を経て現職。分担執筆に岡田温司編『ジョルジョ・モランディの手紙』(みすず書房、2011年)など。 |
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沢山遼(さわやま・りょう)1982年生まれ。武蔵野美術大学大学院造形研究科修了。美術批評。主な論考に「差異と関係――ジョセフ・アルバースとブラック・マウンテン・カレッジの思想」(『ART TRACE PRESS 03』ART TRACE、2015 年)、「限界経験と絵画の拘束――香月泰男のシベリア」(『クリティカルアーカイヴ vol.2 前夜/前線』ユミコチバアソシエイツ、2014年)など。 |
フェア書籍選者Profile |
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岡田温司(おかだ・あつし)1954年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科教授。西洋美術史・思想史。 著書に、『もうひとつのルネサンス』『芸術と生政治』『フロイトのイタリア』(読売文学賞)『ジョルジョ・モランディ』(以上、平凡社)、『肖像のエニグマ――新たなイメージ論に向けて』『半透明の美学』『グランドツアー 18世紀イタリアへの旅』『デスマスク』『黙示録――イメージの源泉』(以上、岩波書店)、『モランディとその時代』(吉田秀和賞)『ルネサンスの美人論』『カラヴァッジョ鑑』(編著)『イメージの根源へ――思考のイメージ論的転回』(以上、人文書院)、『処女懐胎』『マグダラのマリア』『キリストの身体』『アダムとイヴ』(以上、中公新書)ほか。訳書に、ロベルト・ロンギ『芸術論叢』(監訳、ピーコ・デッラ・ミランドラ賞、中央公論美術出版)ほか多数。 |
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金井直(かない・ただし)1968年福岡県生まれ。豊田市美術館学芸員を経て、2007年より信州大学人文学部芸術コミュニケーション分野准教授。専門はイタリア美術史および近現代彫刻史。主な企画として「イメージの水位」(豊田市美術館、2004)、「アルテ・ポーヴェラ」(豊田市美術館、2005)、「消失点」(ニューデリー国立近代美術館、2007)など。あいちトリエンナーレ2016キュレーター。 |
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