Adrian Favell(エイドリアン・ファベル)
『Before and After Superflat
A Short History of Japanese Contemporary Art 1990 - 2011』
村上隆の「スーパーフラット」ムーブメントの世界的な成功の後、日本の現代アートに対する国際的なアート界の見方は、渋谷や秋葉原で見受けられる様な“ポップカルチャー”が全てであった。“Cool Japan”が終焉を迎えた今、新たなヴィジョンを探す時期がきたのではないだろうか。“Before and After Superflat”は、1990年、バブル崩壊以降の日本で、経済不況や社会破たんなどにもまれながら生まれてきた日本のアートシーンについて書かれたものである。村上隆や奈良美智の成功、そして1990年代、2000年代に活動した主要なアーティストについて紹介するとともに、現在注目されているアーティスト、キュレーター、ギャラリスト、アートライターの動向について書かれている。また森美術館や東京都現代美術館といった機関や、横浜トリエンナーレ、越後妻有トリエンナーレ、瀬戸内芸術祭といった国際芸術祭についてもとりあげている。3331アーツ千代田に見られるような都市の中で主導的役割を担うアートの施設も取り上げ、「現在の日本では最も面白いアートはホワイトキューブの外で起こっている」と筆者は論じる。そしてエピローグは東日本大震災後の日本のアートに関する記述で締めくくられる。 |