やました ゆうじ・1958年、広島県呉市生まれ。東京大学大学院終了。日本美術史専攻。著書に『室町絵画の残像』(中央公論美術出版)、『岡本太郎宣言』(平凡社)、編著に『雪舟はどう語られてきたか』(平凡社ライブラリー)、『別冊太陽 水墨画発見』(平凡社)、共著に『日本美術応援団』(日経BP社)、『日本美術応援団・オトナの社会科見学』(中央公論新社)、『日本美術の発見者たち』(東京大学出版会)、『実業美術館』(文藝春秋)などがある。現在、明治学院大学文学部芸術学科教授。
この講座のタイトルには、あえて「日本美術」という、ど真ん中直球、みたいな言葉を用いました。しかも、その「現在・過去・未来」となると、ただごとではありません。私のことを知らない人は、そんな大仰なことを語れるはずがない、と訝しく思って当然でしょう。 しかし、私は等身大の責任を持って、一人称の主語で、「日本美術の過去・現在・未来」について話したいと思っています。 まずは、昨今の「日本美術ブーム」とはいかがなものか、ということ。雪舟や若冲の展覧会に、これほど観客が押し寄せるようになったのはなぜなのか。それを煽った張本人として、ここ数年の動向を、自ら批評精神をもって分析したいと思います。 そして、ここ1、2年、異常なまでに加熱している「アートバブル」みたいな現象もいかがなものか、ということ。私はもともと、古美術の研究からスタートしましたが、この10年余り、大規模国際展から泡沫的な画廊まで、足を棒にして「現代美術」を見て回りました。その結果得た、かなり情けない実感について、率直に伝えたいと思います。 私なりに、可能な限り「日本美術」を俯瞰してきて、あらためて思うことがあります。それは、「日本美術」が、世界でも稀な、メディアとの共存関係、悪く言えば、もたれ合いの構造によって、ようやく社会的なスタンスを維持している、という事実です。そんなことに気づいている人はほとんどいませんが、この講座では、そんな実相にも切り込んでいければと思っています。 この講座でどんな話をするのか、いまはまだ、こんな漠然とした構想しか伝えられませんが、美術館に関わる多くの人への提言にもなれば、とも思っています。 私は、今後数年の間に、開催が決定した3つの大きな展覧会の企画を実現すべく、いま、プランを練っているところです。その進行状況について、ライブ感覚で伝えていきたいとも思います。 私は「アート」という薄っぺらい言葉を、まったく信用していません。「日本」の「美術」だから「日本美術」。とはいえ、「日本」も「美術」も相当危うい言葉ではありますが、どうぞ、あえてど真ん中直球、としてネーミングしたこの講座を、聴きにきてくださいますよう。
山下 裕二
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